Radiation Therapy
放射線治療
放射線治療部門の概要
当院放射線治療部門では、最新鋭のリニアックと密封小線源治療装置を備え、高精度な放射線治療を提供します。放射線技師が行う業務としては、治療計画CT/MRI(固定具作成および撮影)、治療計画補助、治療計画チェック、照射、QA/QCなど多岐にわたります。放射線治療医、医学物理士、看護師と密に連携し、患者さん一人ひとりに最適な治療を実施いたします。
撮影室 | 装置名 | メーカー |
|---|---|---|
<a href="#rtct">治療計画CT室</a> | SOMATOM Confidence RT Pro | SIEMENS |
<a href="#rtmri">治療計画MRI室</a> | MAGNETOM Skyra RT Pro edition | SIEMENS |
<a href="#第2治療室">第2治療室</a> | CLINAC iX | Varian |
<a href="#第3治療室">第3治療室</a> | RALS装置:フレキシトロン HDR | Nucletron |
<a href="#第4治療室">第4治療室</a> | Radixact X9 | Accuray |
<a href="#第5治療室">第5治療室</a> | Cyber Knife M6 | Accuray |
<a href="#密封小線源治療室">密封小線源治療室</a> | VariSeed | Varian |
部門内の放射線技師の役割
放射線治療計画CT・MRI
患者さん個々に合わせた固定具を作成し、治療時と全く同じ体位を再現できるよう精密にセットアップします。その後、適切なスキャン範囲やプロトコルを設定し、正確なCT・MRI画像を撮影します。これら一連のプロセスは、治療計画の基盤となり、高精度な線量計算と再現性のある治療実施へ直結する重要な業務です。
放射線治療計画
医師・医学物理士と連携し、時にはビーム配置やプラン作成も担当します。プランチェックでは、計算された線量分布の妥当性、ビームデータ、マシンパラメータ、固定具の適合性、再現性を詳細に確認し、安全で正確な治療実施の”門番”として、重要な役割を担います。
照射
治療計画に基づき、正確な体位固定具の装着や体位誘導を行い、再現性の高いセットアップを行います。CT、CBCT、X線画像などを用いて、治療直前の患者さんの位置を正確に確認し、計画とのずれがあればmm単位で修正します。治療中の患者さんの不安を軽減するため、適切な説明や声かけを行い、安心して治療を受けられるよう心理的なサポートも提供します。また、治療日報の正確な記録、照射記録の管理、画像データの整理など、治療に関する情報管理を適切に行います。
品質管理(QA/QC)
放射線治療のQA/QC業務において線量計や治療装置の日常点検・定期点検を計画・実施し、出力線量、機械的精度、画像誘導装置の正確性などを確認します。継続的なデータ記録と分析により、システムの安定性を維持し、常に高品質な治療提供に貢献することが、放射線技師の重要な役割です。
当院の装置紹介
治療計画CT室
SIEMENS
SOMATOM Confidence RT Pro
通常の診断用CTとは異なり、治療時の体位固定具を装着したままCTを撮影し、治療時を想定した臓器の位置や放射線の吸収特性(電子密度)に関する情報を取得します。さらに、腫瘍の動きを加味した4次元CTの撮影も可能で、呼吸によって大きく動く部位の腫瘍について、その動きを把握し治療計画に反映させることができます。こうして得られた情報をもとにビームの方向や強さを決定し、計画を最適化することで、治療効果の向上と副作用の軽減を実現します。
治療計画MRI室
SIEMENS
MAGNETOM Skyra RT Pro edition
MRIでは、通常のCT撮像では描出が困難な軟部組織を高いコントラストで描出し、腫瘍や周辺臓器をより明瞭に確認できます。放射線治療室と同様にレーザーロカライザを備えており、ボア径が大きいため、治療時に使用する固定具を装着したまま撮像でき、治療時と同様の体位を再現することが可能です。治療計画CT画像と重ね合わせることで、精度の高い標的およびOAR(リスク臓器)の輪郭描出が可能となり、より効果的な治療につながります。
第2治療室
Varian
CLINAC iX
高エネルギーX線や電子線の照射が可能で、がん治療や緩和照射など幅広い治療に対応できます。IMRTやVMAT、SRS/SBRTなどの高精度治療から、従来の3D-CRTまで行うことができ、高い汎用性と信頼性で安定した治療提供に貢献しています。また、ExacTracシステムを導入しており、平進補正に加えて回転補正も行う6軸補正対応の治療台で、精度の高い位置合わせが可能です。この装置を用いて、頭部や乳腺をはじめ、骨盤領域、四肢など様々な部位の治療を行っています。
第3治療室
Nucletron
RALS装置:フレキシトロン HDR
計画装置:Oncentra Brachy
一時的に病巣付近に挿入した専用のアプリケータを 通じて 、密封小線源 (192Ir) を遠隔操作で送り込み、集中的に放射線を照射する装置です。当院では、CT・MRI画像を用いた高精度な治療計画により、腫瘍と周辺臓器の位置関係を正確に把握し、安全で効果的な治療を提供しています。現在、主に子宮頸がん、膣がんの治療に使用しており、特に子宮頸がんに対しては、外部照射とRALSを組み合わせることで、手術と同等以上の治療成績が期待でき、臓器温存も可能です。
第4治療室
Accuray
Radixact X9
CTのようなドーナツ状の装置の中を寝台が移動しながら、らせん状に放射線を照射するタイプの治療機です。広範囲のがんに対して、高精度かつ効率的に治療できるのが大きな特長です。この装置を用いて、全脳全脊髄照射や全身照射をはじめ、頭頸部、肺、食道、前立腺などの治療も行っています。
第5治療室
Accuray
Cyber Knife M6
ロボットアームに搭載された小型リニアックが、様々な角度から細い放射線ビームを精密に照射する、定位放射線治療専用の装置です。頭部、前立腺、椎体など定位放射線治療の適応となる治療を行っています。また、呼吸などで動く腫瘍に対しても、リアルタイムで追尾しながら正確に照射でき、この機能を活用して肺や肝臓の治療も行っています。
密封小線源治療室(3E 病棟内)
Varian
計画装置:VariSeed
低線量率の密封小線源(125I)を標的臓器に永久的に留置し、がん組織に持続的に低線量の放射線を照射します。これにより、時間をかけてゆっくりとがん細胞を死滅させることができます。限局性前立腺癌、特に低リスク群に対しては、手術や外部照射と同等の治療成績が得られ、短時間の手技で治療を行えるうえ、有害事象が手術より少なく、QOL(生活の質)が良好であることが特長です。